高校1年生の終わりに体験した話。
私の通学路には大きなトンネルがある。
山一面が墓であるとか昔は山賊が出たなどいわくつきのトンネルだ。
薄暗く湿気が多いトンネル。確かに出そうな雰囲気はある。友人も何人も幽霊を見ていた。
今は隣に新しく大きな新道ができたが、当時そこしか道がなかったのだ。
その日はまだ日が高く幽霊に合うには随分早い時間に思えた。
トンネルの歩道は狭く自転車がすれ違うにも技術が要るほどだった。
トンネルの中頃、対向から野球部の一団が現れた。
集団で自転車をこぐ野球部。すれ違う時も邪魔でしょうがなかった。
血気盛んな時期だ後ろを向いて睨みつけた。
しかしそこに誰もいなかった。
おかしいさっき5、6人の野球部員とすれ違ったはずなのに。
こんな短時間でトンネルを抜けることなど車だって不可能なはずだ。
冷静に考えるとおかしなところはあった。
私が帰る時間帯に一人ならともかく集団で会うのはおかしい。彼らは今練習時間のはずだ。
それに今日自分がなぜこんなに早く帰っているかを思い出したのだ。テスト期間中で部活がないからだ。
それに野球部というのは解るのに誰一人の顔を思い出せないことか。丸坊主で帽子もかぶっていないものもいたのに。